系統用蓄電池の価格はいくら?費用の内訳や初期コストの抑え方を解説
系統用蓄電池の導入には、初期費用だけでなく工事費や運用コストまで含めたトータルコストの把握が不可欠です。
本記事では、最新データをもとに系統用蓄電池の価格相場と費用の内訳を解説するとともに、費用を抑えるための具体的な方法や投資判断のポイントをご紹介します。導入を検討されている事業者の方はぜひ参考にしてください
系統用蓄電池の初期費用は?

系統用蓄電池の初期費用は、システム価格で見ると1kWhあたり2万~5.4万円程度が目安です。ただし、実際にはこのほかに工事費や工事費負担金(一般送配電事業者による系統接続工事費)などが発生し、蓄電池の種類や原材料価格、システム構成、設置条件などによって費用は大きく変動します。
経済産業省「2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会 結果とりまとめ」(2025年3月7日)によると、補助金を活用した系統用蓄電池の2024年度の平均価格は、以下の表のように、システム価格が5.4万円/kWh、工事費が1.4万円/kWhで、合計すると6.8万円/kWhとなります。
■系統用蓄電池の価格(2024年度)
システム価格 | 工事費 | 総額 | |
全体平均 | 5.4万円/kWh | 1.4万円/kWh | 6.8万円/kWh |
海外製 | 2万~4万円/kWh | 別途あり | ― |
※経済産業省「2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会 結果とりまとめ」(2025年3月7日)
また、同資料では、補助金を活用せずに海外製蓄電システムを採用する案件では、システム価格は2万~4万円/kWhとなっており、補助金を活用した場合のシステム価格が5.4万円/kWhであることと比較すると、海外製であれば補助金を活用しない場合でも比較的安価な傾向にあります。
なお、系統用蓄電池の価格は蓄電容量と出力仕様によっても左右され、大容量・高出力のシステムほど価格は高くなる一方、同資料によれば容量が大きくなるにつれてkWhあたりのシステム価格は低減します。このようにスケールメリットが働くため、大規模案件ほど事業採算性が良くなる傾向にあります。
※出典:経済産業省「2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会 結果とりまとめ」(2025年3月7日)
系統用蓄電池の初期費用の内訳
系統用蓄電池の導入にかかる初期費用は、「システム費用」「工事費用」「その他費用」の大きく3つに分けられます。それぞれの内容を確認しておきましょう。
系統用蓄電池のシステム費用
系統用蓄電池のシステム費用には、蓄電池本体だけでなく、パワーコンディショナ(PCS)や空調設備、充放電の制御システム(PMS・BMS)、コンテナなどが含まれます。
経済産業省「2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会 結果とりまとめ」(2025年3月7日)によると、2022年度から2024年度までの補助金事業における系統用蓄電池のシステム価格の内訳は以下の表のようになります。
■補助金事業における系統用蓄電池のシステム価格の内訳
2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
電池部分 | 3.6万円/kWh | 4.8万円/kWh | 4.1万円/kWh |
パワーコンディショナ(PCS) | 0.5万円/kWh | 0.6万円/kWh | 0.6万円/kWh |
その他 | 0.7万円/kWh | 0.8万円/kWh | 0.7万円/kWh |
総額 | 4.9万円/kWh | 6.2万円/kWh | 5.4万円/kWh |
※経済産業省「2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会 結果とりまとめ」(2025年3月7日)
※四捨五入の関係で合計値が一致しない場合がある
系統用蓄電池のシステム価格のうち、大きな割合を占めるのは電池部分です。2023年度に比べて、2024年度のシステム価格は前年比で約13%(0.8万円/kWh)低下しています。この背景には、リチウムイオン電池の主要原料である炭酸リチウムの価格が2022年に急騰した後、2023年7月頃から下落に転じており、これがシステム価格の低下につながっていると考えられます。ただし、炭酸リチウム価格は2025年後半あたりから再び上昇局面に入っており、原材料コストの変動リスクは引き続き注視が必要です。
工事費用
系統用蓄電池の工事費は、設置場所の条件や工事内容によって価格が変わります。同資料によると、補助金事業における系統用蓄電池の工事費は2022年度が1.2万円/kWh、2023年度・2024年度はいずれも1.4万円/kWhでした。ここでの工事費には、基礎工事、据付工事、電気工事、付帯工事などが含まれます。ただし、系統用蓄電池の導入にあたっては、設置工事費とあわせて、以下のような費用が発生する点に注意が必要です。
系統用蓄電池の設置に関わる主な工事関連費用
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工事費負担金は電力系統への接続に必要な一般送配電事業者による接続工事費です。立地条件によって工事内容が異なるため、費用も案件ごとに変わります。
また、専用線敷設費用は、一般送配電事業者から発動指令を受け取るために必要な専用線を敷設する工事費です。こうした費用についても、系統連系を行う蓄電所特有の費用として事前に把握しておく必要があります。
その他費用
系統用蓄電池の導入にはシステム費用や工事費用以外にも、事業化にあたってさまざまな費用が発生します。前述の資料では付帯設備費などが含まれていますが、事業者によってその対象は異なります。主なその他の費用は以下のとおりです。
■系統用蓄電池の導入にかかるその他の費用
費用項目 | 概要 |
土地の取得、賃貸費用、造成費用 | 設備を設置するための土地の取得や賃貸にかかる費用。周辺環境によっては、造成工事の費用が追加されることもある |
アグリゲーター利用料 | 電力市場での取引を代行するアグリゲーターを利用する場合、その利用料が必要になる。アグリゲーターとは、複数の発電設備や蓄電設備等をまとめて管理・制御し、電力市場で一つのまとまりとして扱う事業者のこと |
保険料 | 火災や落雷、水災などの自然災害による損害への対策として、法人保険などに加入する場合は、保険料もコストとして見込んでおく必要がある |
なお、今回ご紹介した資料に記載されている数値はあくまで平均値です。実際の費用は、立地条件やシステムの仕様、事業者との契約内容などによって異なるため、自社の状況を踏まえた個別の試算を行うことが大切です。
系統用蓄電池の設置後にかかる費用
系統用蓄電池は導入して終わりではなく、安定した運用を続けるために継続的なランニングコストが発生します。系統用蓄電池の容量などによって維持費は変動しますが、高圧蓄電所では年間数千万円、特高蓄電所など特に大きいものになると年間数億円にもなる場合もあります。
そのため、初期費用だけでなく、運用期間を通じた総コストを事前に把握しておくことが、事業の投資回収の見通しを立てるうえで重要です。ここでは、系統用蓄電池の設置後にかかる主な費用をご紹介します。
保守・メンテナンス費用
系統用蓄電池は、トラブルの早期発見や性能維持のために定期的な点検が欠かせません。点検費用に加え、経年劣化に伴う部品交換費用なども発生します。機器の寿命や保証期間を踏まえて計画的なメンテナンスを実施することが、安定収益の確保につながります。
なお、保守・メンテナンス費用は蓄電池の容量や仕様によって幅があるため、導入前に長期的なメンテナンス計画を立てておくようにしましょう。
システムの維持・運用費用
系統用蓄電池の運用では、アグリゲーターとの連携に伴うシステム利用料や、遠隔監視・制御システムの維持費などが継続的に発生します。また、充放電時の電力ロスや蓄電池の劣化による容量低下は、収益に直接影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。こうした運用コストを加味したうえで、事業全体の収支計画を策定することが求められます。
系統用蓄電池の費用を抑える方法

系統用蓄電池事業の収益性を高めるには、初期費用を可能な限り圧縮する工夫が不可欠です。外部委託の範囲の見直しや立地条件の精査など、複数のアプローチを組み合わせることがコスト削減につながります。ここでは、系統用蓄電池の費用を抑える4つの方法を見ていきましょう。
系統用蓄電池の費用を抑える主な方法
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系統用蓄電池事業の補助金制度を活用する
系統用蓄電池は、電力の安定供給と再生可能エネルギーの導入拡大を目的として国が普及を支援しており、初期投資の負担を軽減するための補助金制度が国や自治体によって用意されています。
経済産業省などによる補助金制度は年度ごとに予算や募集条件が変わるため、最新の動向を継続的に確認することが重要です。また、補助金を活用するには厳格な技術要件をクリアしたうえで専門的な申請手続きを行う必要があり、事前の周到な準備が求められます。補助金を活用するには、系統用蓄電池の導入実績が豊富な企業と連携することで、手続きをスムーズに進めやすくなるでしょう。
なお、東京都では「再エネ導入拡大を見据えた系統用大規模蓄電池導入支援事業」などの助成金があり、こうした地域レベルの支援策についても注目することが大切です。
工事費負担金を抑えられる用地を選定する
系統用蓄電池を設置する用地の選び方によって、工事費負担金を抑えられる場合があります。電柱や鉄塔といった既存の電力インフラに近い土地を選ぶことで、系統接続にかかる工事費負担金の軽減が期待できます。
また、地盤が強固で平坦な土地であれば、大規模な造成工事や地盤改良が不要となり、付帯工事のコストも抑えられます。
さらに、一般的に幅員6メートル以上の道路に面した用地であれば、コンテナ型での搬入が可能になり、搬入費用や現地工事費の削減につながるケースがあります。ただし、敷地の間口や傾斜などの条件にもよるため、個別の確認は必要です。このように、用地選定の段階からコスト視点を持って取り組むことが重要です。
複数メーカーの製品を比較する
国内メーカーだけでなく、価格競争力を持つ海外メーカーの製品も含めて相見積もりを取ることで、システム費用の削減につながることがあります。ただし、製品本体の価格だけで判断するのは危険です。アフターサポートの充実度や実際の運用における費用対効果も含めて総合的に評価する必要があります。性能不足や耐用年数の短さが原因でメンテナンスコストや交換コストが増加するケースもあるため、長期的な視点での比較が求められます。系統用蓄電池は長期にわたって運用する設備であるため、導入実績が豊富で安定した企業と連携しながら進めることが重要です。
また、もうひとつ押さえておきたいのが、サイバーセキュリティ要件です。2027年4月以降、系統連系にはIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)運用のセキュリティ要件適合評価及びラベリング制度「JC-STAR」の取得が必須となる見通しで、対応していない機器は使用できなくなる可能性があります。特に、海外製メーカーの中にはまだ適合取得が進んでいないケースもあるため、あわせて確認することが大切です。
自社一貫体制の施工業者へ依頼する
系統用蓄電池事業の用地選定、システム設計から施工・メンテナンスまでを自社で一貫して対応できる業者へ依頼することも、コスト削減の有効な手段のひとつです。工程ごとに異なる業者に発注する場合と比べ、管理コストや各工程間の調整の手間が削減され、全体の導入費用を抑えることにつながります。また、一貫体制の業者であれば、各工程間の連携がスムーズで、トラブル発生時の対応も迅速に行いやすいというメリットもあります。
系統用蓄電池の投資判断のポイント
系統用蓄電池の投資判断では、初期費用だけに目を向けるのではなく、充放電効率や機器の寿命なども含めたトータルコストで考えることが重要です。具体的には、以下のようなポイントを意識したうえで検討を進めることが求められます。
■系統用蓄電池の投資判断で意識すべき主なポイント
項目 | 概要 |
初期投資額 | システム費用や工事費用が主な構成要素。用地選定やメーカー比較によって圧縮できる可能性を探る |
運用維持費 | 保守点検費、待機電力や空調にかかる電気代、固定資産税などが継続的に発生する。運用期間が長くなるほど運用維持費の総額は大きくなるため、初期費用と同等以上に重視する |
充放電損失 | 充電した電力のすべてを放電できるわけではなく、一定のロスが生じる。充放電効率が低いほど収益機会の損失につながるため、蓄電池本体やパワーコンディショナ(PCS)などの性能が事業収益に直接影響する |
サイクル寿命 | 蓄電池が何回充放電を繰り返せるかを示す指標。サイクル寿命が短ければ早期に交換コストが発生し、事業全体の採算を悪化させる要因となる |
系統用蓄電池の導入にあたっては、単純な安値重視ではなく、「充放電効率の高いパワーコンディショナ(PCS)」や「冷却性能に優れたパッケージ」など、運用コストを下げる性能・仕様を備えた製品を選ぶことが長期的な収益確保につながります。初期費用と運用コストの両面を総合的に評価したうえで、投資判断を行うようにしましょう。
系統用蓄電池の導入時の注意点
系統用蓄電池の導入の際にはいくつか注意すべき点があります。特に以下の点は収益性にも影響するため、注意しましょう。
系統用蓄電池の導入時の注意点
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固定資産税の負担が発生する
系統用蓄電池を自社で保有・設置した場合、固定資産として課税対象となります。また、減価償却の対象にもなるため、長期的な財務計画に組み込んだうえで投資判断を行う必要があります。系統用蓄電池は充放電頻度による劣化(寿命)が避けられないため、減価償却スケジュールと合わせて長期修繕計画を策定することも重要です。
収益性のシミュレーションを徹底する
系統用蓄電池の収益は、JEPX(日本卸電力取引所)での価格差を活用した裁定取引だけでなく、容量市場(将来の供給力への対価)や需給調整市場(調整力への対価)など、複数の市場を組み合わせた収益モデルの構築が重要です。
収益化のシミュレーションにあたっては、各市場価格の変動要素を考慮し、リスクに見合った前提を置くことが求められます。また、電力市場の要件に適応した制御設備を導入する必要があるため、価格の安さだけを基準に機器を選定すると、求める性能に達せず、運用上の損失を招くリスクがあるので注意が必要です。
法令基準を満たしているか確認する
系統用蓄電池の導入にあたっては、火災リスクなどの安全対策や騒音対策に関する法令基準を満たす用地・設計であるかを事前に確認することが不可欠です。
許認可の面では、市街化調整区域への系統用蓄電池の設置を検討する場合、都市計画法上の開発許可との関係を整理する必要があります。現状、市街化調整区域における系統用蓄電池の設置を想定した許可基準が整備されていない自治体も多く、結果として許可の取得が難しいケースが少なくありません。このため、計画の初期段階から自治体との事前協議を行い、許認可の見通しを確認しておくことが重要です。
また、系統用蓄電池の設計段階で隣地との離隔距離が不足していたり、騒音対策が不十分だったりした場合、設計変更を余儀なくされ、コストが大幅に増加するリスクがあります。
系統用蓄電池の導入実績が豊富で、設計から施工・許認可対応まで一気通貫で対応できる企業であれば、こうした法令基準への対応にも慣れており、スムーズに進めやすくなります。系統用蓄電池事業については制度が複雑であることに加え、法令の見直しが入ることもあるため、実績豊富な企業と連携するようにしましょう。
系統用蓄電池の導入ならワンストップで対応できるテス・エンジニアリング株式会社へ
系統用蓄電池事業を成功に導くには、投資効果を見据えた初期費用の圧縮と、適切な運用設計の両立が必要です。テス・エンジニアリング株式会社は、系統用蓄電池事業の開発・施工実績をいかし、系統用蓄電池の事業用地の開発・確保から、系統用蓄電池のEPC(設計・調達・施工)、オペレーション&メンテナンス、運用管理(アグリゲーション)までワンストップで対応可能です。
自社一貫体制により、工程間の調整コストや管理負担を低減できるだけでなく、法令基準への準拠や補助金活用の支援まで、事業化に必要なあらゆるプロセスを熟知したプロフェッショナルがサポートします。費用削減のポイントや導入に関するご不明点がございましたら、お気軽にテス・エンジニアリング株式会社までご相談ください。
よくある質問
Q.系統用蓄電池の価格はいくらですか?
系統用蓄電池の初期費用は、経済産業省「2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会 結果とりまとめ」(2025年3月7日)によると、システム価格で見ると1kWhあたり2万~5.4万円程度が目安です。ただし、実際にはこのほかに工事費や工事費負担金(一般送配電事業者による系統接続工事費)などが発生し、蓄電池の種類や原材料価格、システム構成、設置条件などによって費用は大きく変動します。そのため、個別の状況をもとにした詳細な見積もりを取ることが大切です。
Q.系統用蓄電池の寿命は?
系統用蓄電池の寿命は、使用する蓄電池の種類や充放電の頻度・条件によって異なります。実際の運用における電池の劣化スピードは運用状況によって変わるため、法定耐用年数と実際の寿命が必ずしも一致するわけではありません。長期にわたって安定した収益を確保するためには、充放電頻度を考慮した長期修繕計画を事前に策定しておくことが重要です。
Q.系統用蓄電池の初期費用を抑える方法は?
系統用蓄電池の初期費用を抑えるには、「国や自治体の補助金制度を活用する」「電力インフラが近く地盤が安定した用地を選定する」「複数メーカーから見積もりを取る」「設計から施工・メンテナンスまで自社一貫体制の施工業者へ依頼する」などの方法があります。系統用蓄電池の導入にあたっては、初期費用の安さだけでなく、充放電効率や寿命を含めたトータルコストで評価することも重要です。