電気代の値上げの原因は?今後の見通しや法人ができる対策法を解説

電気代の値上げの原因は?今後の見通しや法人ができる対策法を解説
INDEX 目次

電気代の値上がりは、複数の要因が重なり合っています。その構造を正しく理解した上で、実効性のある対策を講じることが、企業の競争力維持につながります。

本記事では、電気代が値上がりする主な原因と今後の見通しを整理した上で、法人が取り組むべき具体的な対策を解説します。

電気代が値上がりする主な原因は?

電気代の上昇は、単一の原因ではなく、複数の要因が複合的に重なった結果です。電気代が値上がりする代表的な以下5つの原因をご紹介します。

  電気代が値上がりする主な原因

  • 燃料費調整額の高騰と円安の影響
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金の引き上げ
  • 容量拠出金による影響
  • 政府による補助金の終了
  • 国内の発電供給力不足

燃料費調整額の高騰と円安の影響

電気代の値上がりの要因のひとつが、燃料費調整額の高騰です。燃料費調整額制度とは、火力発電に使う液化天然ガス(LNG)や石炭、原油などの燃料が、為替レートや市場の動きなどによって価格変動した際に、電気料金に反映させる仕組みです。燃料費調整額は、その変動分にあたる金額を指します。

日本の電力供給の約6~7割は火力発電で、これらの燃料はほぼ全量を輸入に頼っているため、ウクライナ情勢や中東情勢といった地政学リスクによるエネルギー価格の高止まりが、そのまま電気料金の上昇につながります。東京電力も2026年7月分に関しては、「世界的なエネルギー情勢変化や需給ひっ迫等により、燃料価格が高騰する場合には、燃料費調整額が大幅に増加する可能性があります」と公表しており、短期的な価格正常化は難しい状況が続いているといえるでしょう。

加えて、円安が輸入コストをさらに押し上げています。エネルギー自給率が低い日本では、海外の価格変動リスクをそのまま受けやすい構造的な脆弱性を抱えており、為替の動向も電気代に直接影響します。

再生可能エネルギー発電促進賦課金の引き上げ

電気代の値上がりには、再生可能エネルギー発電促進賦課金の影響もあります。

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が固定価格で買い取るFIT制度の財源を、電気の利用者が使用量に応じて負担する費用のことです。

電気料金は下記の図のような仕組みのため、電気使用量が多い工場やオフィスほど負担が大きくなる構造になっています。

このように再生可能エネルギー発電促進賦課金は、基本料金や電力量料金とは別に上乗せされるため、消費者が直接コントロールすることはできません。

また、2026年5月分より、再生可能エネルギー発電促進賦課金は前年度比0.20円引き上げられ、4.18円/kWhとなっており、再生可能エネルギーの普及が進む今後も、長期的な引き上げ傾向が続くと見込まれています。

容量拠出金による影響

容量拠出金も、電気代の値上がりを後押しする要因のひとつです。

容量拠出金とは、将来にわたって電力を安定的に供給できる体制を維持するため、小売電気事業者(電力会社)や送配電事業者が、電力広域的運営推進機関に支払うお金です。小売電気事業者(電力会社)などにとっては負担になる費用のため、一般的に、その分が電気料金に上乗せされる形になっています。

政府による補助金の終了

2026年1〜3月使用分に適用されていた政府による補助金の「電気・ガス料金支援」が、4月使用分より廃止されました。補助金は本来、急激な価格変動を和らげるための激変緩和措置であり、廃止されると電気代は構造的な水準に戻ります。

なお、エネルギー価格の高止まりや物価高への対応として、2026年7~9月分の電気・ガス代を対象とした新たな補助が決定しています。ただし、補助金はあくまで一時的な措置であり、電気代の構造的な上昇に対する恒久的な解決策にはならない点には注意が必要です。

国内の発電供給力不足

火力発電所の老朽化や廃止が進む一方、原子力発電所の再稼働は一部にとどまっており、国内の発電供給力に不安が生じています。供給力不足は電力の需給ひっ迫につながり、卸電力市場での価格上昇を通じて電気料金を押し上げる要因となります。

再生可能エネルギーの導入は進んでいるものの、太陽光などの天候に発電量が左右されやすい電源が中心であるため、現状では安定した供給力として即時に補完できるわけではありません。こうした供給構造の課題も、電気代の高止まりの背景にあるといえるでしょう。

今後の電気代の見通し

電気代の値上げは、複数の上昇要因が重なる現状を踏まえると、電気代が劇的に値下がりに転じる材料は、現時点では乏しいと言わざるを得ません。原子力発電の再稼働は規制や安全審査などの長期化により、短期間での大幅な増加は見込みにくい状況です。再生可能エネルギー発電促進賦課金については、2022年に開始されたFIP制度への移行が進めば、将来的に落ち着く可能性もありますが、短中期では電気代の引き上げ傾向は続く見込みといえるでしょう。

政府は2026年夏の電力需要期に向け、電気・ガス料金支援として、値引き単価が7月と9月は低圧が3.5円、高圧が1.8円/kWh、8月は低圧が4.5円/kWh、高圧が2.3円/kWhとなります。ただし、これはあくまでも一時的な措置です。

企業としては今後、「値上がりを前提とした電気代管理」の視点に立ち、構造的なコスト削減策を講じることが求められる局面に入っているといえます。

企業が取り組むべき電気代削減の3つのアプローチ

電気代削減の取り組みは、大きく次の3つのアプローチに整理できます。ひとつずつくわしく見ていきましょう。

  企業が取り組むべき電気代削減の3つのアプローチ

  • 運用の工夫による節電対策
  • 省エネ機器やデジタルテクノロジーの導入
  • 太陽光発電や蓄電池などの分散型電源の導入

運用の工夫による節電対策

まずは、初期投資なしで取り組める運用改善から始めることが重要です。企業の節電は、「事務所」と「生産設備」それぞれの面から検討できます。

事務所での取り組み

資源エネルギー庁の「節電アクション」によると、オフィスの電力消費のうち約48%を空調が占め、照明およびOA機器(パソコン・コピー機等)が約40%を占めています。そのため、エアコンの設定温度の適正化(冷房28℃、暖房20℃を目安)や、使用していないエリアの消灯・待機電力の削減といった日常的な取り組みが効果的です。さらに、照明のLED化や、OA機器の省エネモード、スリープモードの活用も有効な手段です。

生産設備での取り組み

自社工場を持つ企業では、生産プロセスの省エネ化が電気代削減に大きなインパクトをもたらします。設備の稼働スケジュールの見直しや高効率機器への更新などを行う方法があります。さらに、電気使用量を管理するデマンドコントロールによってピーク電力を抑制することで、契約電力を引き下げられ、基本料金の削減にもつながるでしょう。

省エネ機器やデジタルテクノロジーの導入

LED照明への更新や省エネ型エアコンなど省エネ機器への切り替えは、消費電力を大幅に削減する効果があります。さらに、エネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用することで、オフィスや工場の消費電力をリアルタイムで可視化・制御することが可能です。

また、AI解析を組み合わせた空調制御システムなどでは、電気需要を予測して自動的に制御することもできます。このようなデジタルテクノロジーの活用は省エネの精度を一段と高め、節約にもつながります。

太陽光発電や蓄電池などの分散型電源の導入

中長期的に電気代を構造的に下げる手段として、効果的なのが分散型電源として、太陽光発電や蓄電池を導入することです。「分散型電源」とは、電力会社が所有・運営する大型の発電所と異なり、工場や事業所などの需要場所に設置される電源のことをいいます。工場の屋根や敷地内の遊休地に太陽光発電、蓄電池を設置し、「電気を作ってその場で使う」仕組みを整えることで、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金の影響を受けない電力を自前で確保できます。(太陽光発電や蓄電池の導入以外に同じ分散型電源としてコージェネレーションシステムなどの導入も考えられますが、ここでは比較的導入しやすい太陽光発電と蓄電池に限って解説いたします。)

例えば、太陽光発電の導入により自家消費率を高めると、電力会社からの買電量を減らして電気代そのものを構造的に削減できます。電気代が高い水準にある今こそ、太陽光発電によるコスト削減効果は大きく、電力価格の上昇が投資回収を後押しする面もあるでしょう。

また、太陽光発電に蓄電池を組み合わせることで、昼間の余剰電力を夜間や電力需要の高い時間帯に活用でき、自家消費率をさらに高めることが可能です。太陽光のみの構成では昼間に余剰・夜間に不足が生じやすいですが、蓄電池がそのギャップを埋めることで、買電コストを最小化できます。

なお、太陽光発電や蓄電池の導入には専門的な技術・知識が必要です。設計から施工・運用管理まで、実績の豊富な専門企業と連携することが重要です。

※太陽光発電や蓄電池の導入について相談する

自家消費型の太陽光発電を自社で導入する方法

自家消費型の太陽光発電の導入には、大きく分けて主に3つの方法があります。自社の資金状況や設備条件に照らし合わせて検討してみることが大切です。

 自家消費型の太陽光発電を自社で導入する方法

  • 設備を購入して自社所有する
  • 初期投資ゼロで導入できる「PPAモデル」を活用する
  • 初期費用を抑えるリース方式を活用する

設備を購入して自社所有する

設備を導入する方法のひとつに、太陽光発電や蓄電池などの設備を購入し、自社で所有する方法があります。初期費用はかかりますが、自家消費による電力コストの削減に加えて、蓄電池を活用することで発電した電力を時間帯問わず無駄なく使用でき、さらに、余剰分は売電することで収益につながる場合もあるため、長期的には経済効果が高い選択肢です。

また、蓄電池の設置に適した遊休地がある場合は、土地の有効活用にもつながります。太陽光発電の初期費用を抑えるために、補助金などを活用する方法もありますが、設計・施工・運用管理には専門知識が必要なため、信頼できる専門会社と連携することが不可欠です。

※太陽光発電や蓄電池の導入について相談する

初期投資ゼロで導入できる「PPAモデル」を活用する

PPA(Power Purchase Agreement/電力販売契約)モデルは、発電事業者が企業や自治体の施設の屋根や敷地に発電設備を設置・所有・維持管理し、企業はその電力を使った分だけ購入する仕組みです。

設備の初期費用が不要なため、資産化せずオフバランスで再生可能エネルギーの電力を導入・利用できます。特にオンサイトPPAの場合、敷地内で発電した電力を直接購入するため、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金の影響を受けません。電気代の予測が立てやすくなり、予算管理の面でもメリットがあるでしょう。

初期費用を抑えるリース方式を活用する

初期費用を抑える方法には、リース会社と契約し、月額のリース料を支払う形で自家消費型の太陽光発電設備を導入する方法もあります。PPAモデルとリース方式はいずれも長期契約が一般的です。ただし、PPAモデルは使用した電力量に応じた支払いであるのに対し、リース方式は発電の有無にかかわらず月額費用が発生する点が異なります。自社の発電見込みや資金計画を踏まえて、最適な方式を選ぶことが重要です。

太陽光発電や蓄電池の導入はテス・エンジニアリングにご相談ください

テス・エンジニアリング株式会社では、全国で多数の太陽光発電や蓄電池の施工実績を積み重ねてきました。EPC方式、オンサイトPPA方式など選択肢を限定せず、柔軟な事業スキームをご提案いたします。

特定のメーカーに縛られないベンダーフリーの立場から、屋根の形状や設置条件に合わせた最適な機器選定が可能です。また、設備導入後のO&M(運転・保守)まで含め、ワンストップで対応できる体制を整えています。自家消費による電気代削減を始めたい企業様は、まずはお気軽にお問い合わせください。

※太陽光発電や蓄電池の導入について相談する

企業の電気代節約は分散型電源を検討しよう

電気代の値上がりは、燃料費調整額の高騰や再生可能エネルギー発電促進賦課金の引き上げ、補助金の終了、国内の発電供給力不足など、複数の要因が重なった結果です。短期的な改善は見込みにくく、「値上がりを前提とした電気代管理」が求められる時代に入っています。

中長期的に電気代を構造的に引き下げるには、分散型電源の導入が有効な手段です。太陽光発電や蓄電池の導入を検討する際は、設計から運用まで一貫して対応できる実績豊富な専門企業との連携をおすすめします。

電気代削減に関するお問い合わせはこちら

よくある質問

Q.電気代が高くなった原因は何ですか?

電気代の値上がりは、複数の要因が重なっています。主な原因は、燃料費調整額の高騰と円安による輸入コストの上昇、再生可能エネルギー発電促進賦課金の引き上げ、容量拠出金の電気料金への転嫁、政府の電気・ガス料金支援補助金の終了、老朽化した火力発電所の廃止等による国内発電供給力の不足などが挙げられます。これらは構造的な問題であるため、短期間での解消は難しい状況といえるでしょう。

Q.電気代の節約のために企業ができる対策は?

企業の電気代削減は、大きく3つのアプローチで取り組めます。空調の適正設定や消灯、デマンドコントロールといった運用改善をはじめ、省エネ機器・デジタルテクノロジーの導入、太陽光発電や蓄電池などの分散型電源の導入です。なかでも太陽光発電の導入は、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金の影響を受けない電力を自前で確保できるため、中長期的に効果が高い手段のひとつです。

Q.太陽光発電を導入する方法は?

太陽光発電の導入方法は主に3つあります。設備を購入して自社所有する方法は、初期費用はかかるが長期的な経済効果が高い方法です。初期費用を抑えながら導入する方法として、PPAモデルを活用する方法とリース方式を活用する方法があります。それぞれに費用などが変わるため、自社の資金状況や設備条件、運用方針に合わせて最適な方式を選ぶことが重要です。

スマートフォンとノートパソコンを同時に使う手元の写真 スマートフォンとノートパソコンを同時に使う手元の写真